椎名林檎その4

2002年10月15日
 椎名林檎のシングルCDを何枚か買ったことはちょっと前に書いたが、間に四人囃子を挟んだとはいえ、実はちょっと集中して聴いていたんである。
 モノは文句のつけようがないので、例によって細かいところをコメントしてみたい。

1.幸福論/すべりだい/時が暴走する
 「幸福論」は、このバージョンの方が全然好き。
 最初に言っておきたいのは、アルバムよりシングルの方がアレンジとか気合入ってるような気がするってことで、シングルの曲をアルバムに入れないっていうのもすごくうなずける。
(実は聞きたいからシングルCDを入手しろって娘に命令されたんです)

 「すべりだい」は好みの曲。渡辺等のベースがなかなかだが(音はちょっとブンブンすぎない?)、編曲の亀田誠治本人が弾いていないのがポイント。こういうベースも弾こうと思えば弾けるんだろうが、これひとつとってみても亀田の器量がわかるというもの。
 でもなんでこれドラムは打ち込みなんだろう? 誰かの生ドラムで聴いてみたかったような気がする。

 「時が暴走する」 林檎本人の味のあるピアノが聴けて満足。途中入るクラシックの曲、これに使われたことで株を上げたね。(いやマジ)
 ドラムは村石で、これはこれで全然文句ないが、別な人選もアリだったかも。

2.本能/あおぞら/輪廻ハイライト
 「本能」は村石の「喰った」ハイハットを含む、文字通り男気のあるドラムが印象的。
 全体を通して斉藤有太のピアノがものすごく効いていて、特に、2コーラス目「全部どうでもいいような」の歌詞のところ、すごいリズムで刻んでいる。この人、相当いいんじゃない。

 「あおぞら」は皆様ご存知の林檎の最も古い曲。
 こういうなんでもないタイプの名曲も、亀田の手にかかると新しい感じになる。オルガンの音とか、生ホルンが入っているのがいい。
 こういうタイプの曲、歌詞も含めて実は椎名林檎の原点だと思う。(無罪モラトリアムの「モルヒネ」とか)
 亀田誠治のベースも簡単そうに聴こえるが、味がありすぎて、なかなかこうは弾けないもんだろう。
 全体的に亀ベース、難しいことはあんまりやってないがセンス抜群で、肝心な部分は快感ともいえるいい感じでボトムを抑えるので、ベース初心者がコピーするにはオススメです。娘も大体亀フレーズは覚えたと言っていますた。

 「輪廻ハイライト」 あんまり聴いていないのでパス。ピアノ島健、ドラムトガシキ、ベース高水という恐るべきトリオ。ウッドベースなら高水じゃない人選も考えられるが・・・。

3.ギプス/東京の女/?
 「ギプス」 Aメロが良すぎ、それに比べちゃうとサビがわずかに今一歩。椎名林檎は歌詞や歌い方に特徴があるのであまり注目されないが、実は稀代のメロディメーカーでもあるので、こういった高望み的な印象を受ける曲が結構ある。(勝訴ストリップの「虚言症」とか)
 アカペラでも聴いてみたい感じがする。
 
 「東京の人」 よく聴いてないのでパス。もちろんいいんじゃないでしょうか。

 「?」 同上。ナンバーガールの田渕ひさ子がギターを弾いている。

4.真夜中は純潔/シドと白昼夢/愛妻家の朝食
 「真夜中は純潔」はまあこういう曲でしょう。スカパラの演奏、ちょっと重いというかタルイというか、リズムが切れてない感じがするんだが・・・。

 「シドと白昼夢」は、娘が村上秀一がドラムを叩いていると教えてくれた曲。
 よく見たらウッドベースはいつぞや当コラムでも紹介した坂井紅介じゃん。やっぱりこりゃ文句ないだろ!
 つーことで、演奏はほとんど完璧。ポンタのドラムは例によって音量小さめで、とてもソフィステケートされたもの。バックに徹していて、ちょっと聴いたところでは全然目立たないが、よく聞いみてるとものすごくカッコいいんだなこれが。(ポンタ本人もメルマガで大推薦してた。自称林檎の追っかけらしい)
 いやそんなことどうでもいい。これ、改めて聴いてみると信じられないくらいいい曲じゃない? A列車とか枯葉とかチュニジアの夜とかと同じく、100年後に残るスタンダードの資格がある。この演奏と唄なら、歌詞は全然わからなくてもどんな国の人だっていいと思うはず。椎名林檎、恐るべし。
 娘が「シドと白昼夢」大好きと言っていた理由がやっとわかりますた。
 録音はちょっと、ホーンの音量がデカイかな? もっと生唄っぽく録ったらどうだったんだろう?
 ドラムはトガシキ裕一だったら(つまりケイコ・リーのバックのリズム隊ね)もっとリズミックでノリのいい感じになったはず。

 「愛妻家の朝食」は娘が歌詞がすごく好きというか印象的だと言ってて、確かにこういう言葉はすぐには出なこなさそう。
 森俊之+渡辺等+沼澤尚+cobaというメンバーなんだが、実は沼澤氏のドラムをちゃんと聴くのは初めて。(なんと!
 そうですね、スネアはちょっと遅れた感じで、音や比較的シンプルな叩き方も含めて、林立夫に似た感じ。でももっとずっと洗練されていて、ビートに華があるよな。
 林立夫もミュージシャン仲間ではすごく評価の高かったドラマーだったが、あまりにも泥臭くて(誉め言葉)、正直いって合わないタイプの曲もあると思う。(高中のセイシェルなんかちょっと違和感がある)
 この点、沼澤氏ならどんな曲でもいいドラムを叩いてくれそうで、確かにいろんなところに呼ばれるだろうという気がしますた。松原秀樹とのコンビがベストかといわれればなんとなく素直にうなずけないものもあるが、林立夫もそうだったように、どんなタイプのベースとも合いそう。
 
  
PS
 実は椎名林檎本も読んでたんですが、やっぱりこの人、天才ですな。神経症的なところがあるのもその証拠です。(治してしまうときっとダメになってしまうでしょう)
 

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索