四人囃子その2

2002年10月7日
 四人囃子のライブにいまだ興奮気味で、いろいろ調べてました。
 昨日アルバムについてちょっと触れましたが、最近、未発表ライブ音源を含む6枚組のCDが出ているようです。
 昨日見た放映は、実際のライブが4月、1回目の放映が6月、そして四人囃子は8月のフジロックフェスにも出ていますので、ネットにも多くの情報があります。

 特に若い人がどう見たかに興味あったんですが、72、3年のライブについては、
「30年前にこういうバンドと演奏があったとは頭が痛くなる」
「最近の若いミュージシャンには絶対に見られない気合」
「アルバムも素晴らしいが、ライブの方が数十倍イイ」
「曲の構成力がスゴイ」
とか。

 フジロックを見た人は、
「普段着のオジサンが妖怪に変身」
「凄まじすぎるステージ」
「ヤケに上手い、かっこいいオッサン達」
「こういうジャンルは苦手」
まあしょうがないでしょう。佐久間なんてもう50になるでしょうし。

 でも、あいつら上手いですか? 佐久間はプロデュース、編曲、そしてベーシストとしての腕も椎名林檎の亀田誠二と同クラスだと思いますが、森園はウマヘタ関係ないロバートフリップ(@キングクリムゾン)のような存在だし、編曲やスタジオの仕事が長いとはいえ、岡井のドラムは自己流の感覚派(たまに基本的なところをミスっているような?)、坂下もオールドスタイルで、ぱっとはしないと思うけど。

 ところで、その「今の若い奴らでは到底太刀打ちできない気合」についてですが、これは別に軟弱とかそういうことじゃなくて、方法論の問題でしょう。

 70年代初頭、日本はロックの黎明期でありまして、私もあの音には驚いたもんです。
 要するに、弦をピックではじくだけであの馬鹿デカイPAから山を揺るがすような音が出る。これはひとつの力であり、ロックをやるということは、そういった圧倒的・破壊的な力を得るということだったわけです。
 森園も四人囃子のHP(http://www.4nin.com/)で、いまだにギターの音にこだわっていることを述べています。
 つまり、いい音楽であることがもちろん第一条件ですが、そのスタイルとしては、いかに音そのものの力を生かすか、そういう方法論なわけです。(必ずしも大音量というわけではなく)
 だから、個人の演奏力よりも(もちろん長いインプロヴィゼーションもあるのですが)、徹底して構成とアンサンブルを重視した、力ある音の集合体としての楽曲を聞かせてくれるのですね。
(音の洪水に呑み込まれ、圧倒された、って感想もありました)
 アルバムにおけるキーボードの音ひとつとっても、(一部のロックやフュージョンと違って)ちっとも古い感じを受けません。

 もちろん、気合の見せ方は他にもあります。アコギのデュオとかピアノの弾き語りでも何でもいいんです。いずれにせよ方法論として、何かにコンセントレートするところがない限り、そういった気合は見えてこないのではないでしょうか。
 
 
 ところで、放映時のライブについては、
「現在でもプログレスしつつあることを証明した驚愕の演奏」
「最初から最後までまったく身動きできなかった」
「対バンのスモーキーがその名のとおり煙のように霞んでしまった」
なんてのも。(そりゃスモーキーがかわいそうです)

 でも、プログレスしつつあるっていうのは確かかもしれない。森園のギターも下手糞な唄もなんか染み込んでくるような妙な説得力がありましたし(本人も最近やっといいギターの音が出るようになったと述べてます)。他のメンバーも歳月と経験を積み、味が出てきてるのは間違いないです。

 四人囃子は、今でも解散したわけではないというものの、新曲は一切出してません。しかし、クラシックの演奏家と同じで、別にそんな必要はないんじゃないか、なんて考えてました。

 1996年に実に久しぶりにステージに立ったときのことを岡井が書いてます。
「演奏を始めて森園のギターの音が聴こえて来たら“あ、有難いなぁ ・・・”って思ったんだ。佐久間も同じこと言っててさ。これは他の人じゃ感じられないものだねぇ。」
 深いです。

 
PS1
 横浜には、野毛山というちょっとした山に動物園があったのですが、たまたまライオンを見ていたとき、吼えたことがあるんですよ。
 まさに野毛山全体が震撼しましたね。小さい女の子なんか耳を塞いでしゃがみこみ、泣き出してました。
 あれには驚きと同時に一種の感銘を受けました。人間の肉声(唄)にもそういう力があるはずですし、四人囃子の音はまさにそのようなものです。
 
PS2
 「空と雲」「おまつり」「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」は近年、いろんなところでカバーされてるらしいです。聞いたことがなかったはずなのに、そんな感じを受けなかったのはそのためでしょうか。
 

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