夢のような日々

2007年2月23日
私がある技術系の零細財団法人(なんと戦前から続いているそうだ)に週何日か出ていることはすでに書いているが、去年の6月頃までは、業界関連会社から事務系の超ベテランのNさんが出向してきてて、ずっと一人で仕切っていた。
そのNさんが業界から完全に足を洗い、かねてより念願の、地方の寺などで子供にいろんなことを教えるような活動をしたいということで、代わりに招聘されたのがIさんである。
Iさんは60代半ば?? 超大企業のM重工出身で、本業分野のみならず小さいながら面白い事業の立ち上げなども含めて手がけてきており、M退職後も業界の関係各社を渡り歩いてきた人で、M特有の役人あるいは大企業人らしいところがまったくなかった。
なんでも2、3年前に大腸ガンを患ったとのことで、今も週に一度抗がん剤治療をしており、健康的な問題はあったが、本人はいたって元気で、なんかとぼけてるというか飄々とした感じだったのだが、それはやはり死地をいったん越えてきたためもあったのだろう。

さて、そのNさんとIさんの歓送迎会が関連会社からも結構な人を集めて行われたんだが、そのときのIさんの挨拶である。
「私は数年前にいったん会社勤めをすべて辞め、長い間の念願だったことを2年間することができた。
それはいくつかあるが(ひとつふたつ説明したがあまりたいしたことがないので省略)、もう一つは死期の迫った母親の看病をして看取ることだった。その2年間は、本当に夢のような日々だった。
しかしこの度、請われてまたこのような仕事をすることになったが、力を尽くしたい。
一方、Nさんはかつての私のような生活ができるようになったわけで、うらやましいと思うと同時に、ぜひ長年の夢をかなえてほしい。」

聞いててびっくりしたのだが、根っから能天気な私は会費の元を取らねばと飲み食いしているうちにすっかり忘れてしまった。
しばらくして昔から仕事上で信頼している某編集者が寄って来て、「Iさん、すごいこと言いましたねえ。」と言ったので、もう一度電撃に打たれるように思い出したんである。

母親の看病を「夢のような日々」と言えるような境地に私は達することができるのだろうか。
 
PS
 俺、この話前にも書いたっけ??(またかよ)
 

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