とはいえ、まだBigBangBangとタイムマシンしか聴いてないので、まあ原点に返ったというか1枚目に似ているとだけ言っておこう。
バンドメンバー本人たちが言ってるように、「前はやりたくてもできなかった」「これまで聞いたこともない」グルーブが確かに詰まってる。

まずBigBangBangだが、これに関しては、木村カエラはハマってはいると思う。曲もわりと落ち着いてるってこともある。
しかし、一部の人がいうように「歌がうまい」とか「自分のものにしている」とはまったく思わない。
サウンドデザイナー11月号に加藤和彦の話が載っているが、歌の細かなノリに関しては小原礼が指示しているとのこと。実際、記者会見でもカエラ本人が「リズムに非常にうるさいバンド」と言ってたし。
具体例としては、「BigBangBang」というフレーズを後ノリで歌うようにという話が挙げられているが、結局カエラはそのあたりのことが本能的に自分でわかるような本物のシンガーではないってことだ。
ドラムマガジンの先月号で村上秀一が言ってたように、自分で曲を作ったのならその時点でグルーブも決まるようなところがあり、作者が普通に歌っても破綻は来たさない。
しかしシンガーの場合は、曲とアレンジ、そしてバッキングに応じてその場で一番ぴったりした歌い方を自分でわかって歌えなければ、その価値はない。それが当たり前のようにできたのが、エラ・フィッツジェラルド、アレサ・フランクリン、等々の歴代の天才不世出ボーカリストである。山下洋輔の言う「バンドに魂を吹き込むボーカリスト」ということでもある。

どうせ本物のボーカリストでないのなら、メンバーの指示通り歌ってた(であろう)ミカと変わらないし、逆にミカの方が本質的にぶっとんでいる。
チープなラジカセや店のBGMなんかでかかるタイムマシンは、カエラの歌う新バージョンは凡庸に聞こえるのに対し、やはりオリジナルはキター!!って感じにインパクトがある。
そのポイントとしては、エフェクト処理、微妙に語尾を下げるように歌われるAメロ、とかいろいろあって、これらがミカのアイデアでであるわけはないが、とにかく「非常に効果的に作り込まれている」。それが日本のロック史上の名盤、サディスティックミカバンドの「黒船」なのだ。(続く)
 

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