国語の教科書

2003年9月8日
 昔から国語と美術の教科書にはなかなか面白い(ものがある)と思っていて、今どうなってるのか知りたくて、数週間前、娘の中3の国語をざっと目を通してみた。

 やっぱりくだらない話が多いけど(俵万智とか)、井上ひさしの「握手」と藤沢周平の「蝉しぐれ」が載ってたのでほほうと思った。
 
 井上ひさしの方はかつて長編はほとんど読んだはずなんだが、短編があったとは知らなかった(ヲイ。
 まあとにかくすごくいい話だと思った。有名な短編らしく、検索するとモデルとか舞台とか、かなりひっかかる。

 ただし(参考書だかプリントだかの)問題はいただけない。「主人公は最後にどういう気持ちで握手したか」下のうちから選べだか簡単に説明しろだか忘れたが、そういう理解のしかたをしようとする限り、決して物語の本質は見えてこないだろう(怒。

 たとえばラストで主人公の万感胸に迫る思いがテーマの小説があるとする(そういうのがいい小説とも思わないし、この「握手」はそうではないと思うが)。作者はそれを過不足なく表現したくて何万語も費やしてきたのだとすれば、たった数行で説明しようとするのは、実にバカバカしい行為である。

 こういうものは、夢と同じで、決して解釈してはいけない。イメージのままずっと抱え込んでおくものなのである。わけがわからないならなおさらだだろう。
 イメージとして反芻していくうちに、いつか「腑に落ちる」場合があるようだ。

 意外なことにイメージと言語は相互に変換可能だが(だから小説や詩、俳句短歌も芸術になりうる)、その場合の言語の役割は「分析的に説明」することではない。
 たとえば「俳句や短歌で表現しろ(俳句や短歌の形に変換せよ)」という問題なら、方法論的には正しいと思う。
 
 
 「蝉しぐれ」については、割と最近、藤沢周平を好んで読んだはずなのだが、印象が薄くあまり記憶になかった。どころか、さっぱり良さがわからなかった(!)。
 これはちょっと妙な気が自分でもするので、いずれじっくり再読してみるつもりである。
 
 あと、井上ひさしの短編で評価が高いものも探してみるつもり。
 
 
PS
 「教科書から消えた名作」 http://kumanichi.com/hobby/hon/book2002/meisaku/index.html という九州の新聞の連載もなかなか面白いです。
 

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