上遠野浩平の本

2003年4月22日
 娘がやっとブギーポップシリーズの最新刊「ジンクス・ショップへようこそ」(上遠野浩平)を貸してくれたので読んでみた。
 
 いつ聞いてもまだ読んでないということで、8割くらい読み終わっている感じのときもあったのだが、数日後に見るとまだ1/3くらいのところをページをめくっている。
 読むのが早い娘にしてはおかしいなと思ってはいたのだが、案の定、オレも何回か前の方を確認しながら読む羽目になった。

 まあそれは要するに登場人物(と前のエピソード)の確認なのだが、決して難解というか、頭が痛くなったり、理解するのが面倒くさくなったりする感じがないのは不思議だ。それだけ面白いということだろう。

 出来については、テーマが深く、いよいよ核心に近づいてきた感があって、すごい読後感だった。
 ただ、シリーズの他の刊を今読み直してみたら、特にどれが優れているかはいえないような気がする。
 それだけふところが深いというか、引出しが多いというか、あるいは読者の方の何かに触れるものがある。

 作者の上遠野浩平、青少年向け作家と思われているが、このブギーポップシリーズだけで既存の近代小説の大部分を軽く凌いでいると思う。
 デテールや描写でごまかすこともできる大人向けの小説と違い、ストーリーとテーマがしっかりしてないと子供向きはうまくいかない。
 娘はある刊を5回も読み直したと言っていたが、そのように繰り返し読んでみたいと思わせる著作は実はそんなに多くない。

 ひとつだけ注文をつけるとすれば、ストーリー上、時々死ぬ人間が出てくるのだが、そういう脇役的な扱いにも、今以上の何かを感じさせてもらいたい。
 「話のツマミ」的にバタバタ(実際には一人二人だが)死んでいくのはあまりよろしくない。
 ただ、ここのところはよくわかっている感じもある。
 
 
PS
 上遠野浩平自身のあとがきもいつもすばらしいです。
 

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