リズム感について

2002年11月25日
 致命的にリズム感の悪い家所であります。大学でもいわゆる「軽音」系のサークルに入ったにもかかわらず、すぐに脱落して評論家の道へ進んだのはそのためですた。
 さて、お題ですが、3つあります。

1.リズムの聴き分けについて
 佐久間正英は、「特殊な訓練した人とかじゃなくても、3ミリ(セック)とか、多くても6ミリ(セック)くらいで、それでも一般的に聴いている人はモタって感じたり、ちょうどに感じたりするのね。人間って異常にシビアなのね、実は。普通の人でも。」と述べています。
 これはその通りでしょう。感覚器官や神経系統に異常がない限り、普通に育っていれば人間の知覚能力にはそれほど差がないはずです(鼻の効かない犬って聞いたことがありますか?)。
 訓練によって研ぎ澄まされるのは事実ですが、それはあくまで本来誰でも持っているものが出てくるだけです。

2.運動神経との関係
 しかしながら、実際にリズムを3ミリsec以下でコントロールして演奏できるかといえば、これはいわゆる「運動神経」の問題になります(スポーツというのはあるタイミングである動作を行うというものですからね)。
 「何をやらせても上手い、器用だ」、あるいはもう一歩進めて、「どんなスポーツでも大成しただろう」という運動神経の持ち主がいます。こういう人は、遅く音楽を始めても大丈夫です。
 聞くところによれば、ラテンやブルースのギターの名手には大人になってから始めた人も少なくないとか(ジョビンがそうでなかったかな?)。
 しかしながら、サッカーの世界でもある時期にスキルを身につけないと一生ダメだといわれているように、やっぱり鍵盤楽器やドラムの4wayなどは素質に加えて幼少時の訓練がモノをいうでしょう。
 では、私のように運動神経のない人はどうすればよいのか。
 ひとつ考えられるのは、なるべく単純な楽器をやることです。たとえばベースならピック弾きに徹するとか、6弦のギターでなく3弦の三味線でやるとか、ドラムよりはパーカッションを選ぶとか。テルミンとかいいかもしれない。
(でも実は単純な楽器ほどセンスが問われます。クラシックの世界でも、トライアングルとかムチャクチャ難しいそうですよ)
 最後の手段はもちろん、打ち込みです。

 話は変わりますが、一昔前、ライブなんかで2拍4拍の手拍子がいつのまにか1拍3拍になってましたよね。(娘に聞いたら今でもそうだとのこと)
 これは、聞き分けとしては2拍4拍でも耳慣れてるのですが、運動イメージとしては「1拍3拍に合わせる」というのが出来上がってしまっているためです。

3.ビート感について
 ライブにたまに行くと、プロのミュージシャンの生み出すビートがこちらの中枢?神経にビンビン響いてくるのがよくわかることがあります(大昔、エリックゲイルのギターを聴いたときに最初にそう感じました)。
 これはリズムが正確とかそういう問題ではなく、まさに音楽のひとつの本質であると思います。
 ではこのビート感とは何か。
 私の考えでは、機械のように正確なリズムではなく、わずかな(数ミリsec)のゆらぎと、それに強弱があるのがポイントです。
 なんでそれがビート感を生み出すのかっていうのは、たとえばカンディンスキーの絵から感じる躍動感と関連して私論があるのですが、長くなりますので省略します。
 これはある程度、実際に音を合わせるという訓練によって身につけることができるようです(1ミリsecとその強弱を自由自在にコントロールできる人でなければダメですが)。最近の年季の入った日本のミュージシャンにその成果を見ることができます。
 しかし、天性としてそれができる人もいて、その多くはボーカルです。エラフィッツジェラルドなんかその最たるものでしょう(特にスキャットを聴くとよくわかります)。
 しかしそれは本当に天性なのか? はるか太古からそういう人が出ていることを考えると、まず第一にその母親がどんな子守唄を歌っていたのかに興味のあるところです。
 
 
PS
 打ち込みでも、一つ一つの音符を微妙にズラし、かつ強弱をつけていけばビート感が出ることになりますが、実際問題としては難しそうです。
 

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