O・ヘンリーの短編

2002年7月31日
 一昨日に子供向けの話をちょっと書いてて思い出したんだが、いくつか名作があったような気がした。
 
 大昔、筒井康隆が、「子供には大人ならつい目を奪われてしまうような定型パターン(マンネリ)とか描写とか情報とかは通用せず、極めてシビアな読者である」とか、「子供にわからないようなのは普遍的な名作ではない」と書いていて、なるほどと思った記憶がある。
(実際に筒井は「時をかける少女」など何作か書いている)
 井上ひさしが復権を提唱した「物語」も、いまや商業ベースの出版物には見かけることが少ないが、子供向けの話に多く残っているように思う。

 で、そういった普遍的な名作に特徴的なのは、話の筋を多少簡略化して、やさしい言い回しに代えてもその価値が損なわれないことだろう。あるいは違う時代や国でも多少デテールを修正すれば通用する話なのかどうかとか。
 
 たとえばO・ヘンリーの短編なんかはその最たるものではないかと思う。
 実はずっと昔から気になっていたのだが、短編集を読んでみたのは割と最近。多くの人が言うように半分は駄作だが(なんか晩年はロクな人生でなかったらしい)、いいのはすごくいい。

 特に「賢者の贈り物」。これは現実問題として髪の毛と懐中時計というのがピンと来ない人も結構いるようなのだが、別にモノはなんでもよく、要はそのようにお互いに非常に大切にしているもの、ということである。
 とある政治家が、「賢者の贈り物のように役に立立たないものを送ってはしょうがない」と発言したのを聞いたことがあり、ああこの人はかわいそうな人だなと思ったのを覚えている。

 O・ヘンリーの短編の文庫は2種類出ていると思ったが、どちらかの「賢者の贈り物」の訳、ラスト数行はまことに感動的である。この部分、少年少女向けにはどのように文になっているんだろうか。
  
 
PS
 すいません、ちょっと探したんですが出てきませんでした。
 また、ぜひ読んでみたいと思って英語版も持ってますが、まだ手をつけてません。
 

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